一千万年前のある日、我々の御先祖様(まだ、ほとんど猿でしたね)が
アリの巣に木の枝をつっこんでアリを食ったとき
「なんて便利な道具なんだろう!」と、感激したはずだ。

石を割って刃物を作りはじめると、色々な道具を作り始めた。

土を焼くと耐水性が出る事を知ると土器を作った。

金属を使うことを覚えると
道具を作る道具が出来るようになり
飛躍的に技術が向上していった。

中世くらいまでは、
人間は本当に必要な物を作って使っていた。

18世紀、イギリスの産業革命以来
大量生産という技術によって膨大な量の物を生産しはじめた。

新しい物が出回ると、次にもっと別な物が欲しくなる。

人が必要とされる物を作る事から、
次なる需要を作り出すようになった。
新しい物が、次々と、さらに新しい需要を作り出していく。

、、、

私が小学生の頃、
新幹線の事を「夢の超特急」と言っていた。
夢だったんですね。

何年か経って
ある日、新聞に全ページ広告が出た。
「新幹線が完成しました。
今まで夜行列車で辛い思いをしてこられたサラリーマンの方々
新幹線のおかげで、出張の時
朝はゆっくり新幹線に乗り、
午後はきっちり仕事して、
夜は出張先の旅館で名物料理をおかずにのんびり一杯、、、」

とかナントカ、、、

私は、子供ながら
「これは嘘だ!」
と、直感した。

だってそうでしょう。
新幹線が出来たら、一泊、二泊くらいの出張は
「日帰り」になるに決まっとる。
一杯飲むどころか余計に忙しくなるにちがいない。

ほどなく
一泊二泊程度の出張は、すべて「日帰り」になったのだった。

新幹線があたりまえになると、
夜行列車は廃止になってしまった。
まあ、当然ですけど。

新しい文明の利器が出来た時、
はじめは「珍しい」「スゴい」と喜んでいるが、
すぐに、それが当たり前になり、
ついには、それ無しではいられなくなる。
つまり
「麻薬」と同じですね。

、、、

冷房ってやつにも困ったものです。
はじめは「涼しい涼しい」って喜んでいたのだが、
どこの家でも冷房を付けるようになると
今度は室外機の熱で、町全体が暑くなってしまい、
ますます冷房を強くかけざるを得なくなる。
ヒートアイランド現象ってやつですな。
今や都会では冷房は生活必需品である。
冷房がこわれた為に死ぬ人が出るほどになってしまった。
さて、そうなると町全体がさらに暑くなり
それで、皆が、どんどん冷房を強くするようになり
そして町全体がもっと暑くなり、、、

典型的な悪循環ですな。

麻薬は、だんだんと量が増えていって
最後は自分自身の体をぶち壊してしまう。
麻薬と同じように
どんどんエスカレートしていくのが「文明」です。

、、、

人間にとってぜひ必要、という物ではなくても
それが無いと生活できなくなってしまう。

必要のない物を作るのが「文明」なんだって、、本当かい?

それなら文明なんて要らないかも、、、

縄文人に戻れとは言わないけど、
少し、ブレーキをかけても、、、いいんじゃないかなぁ?



  
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