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イタリアの数学者、 レヴィ・チビタ氏 (Levi Civita)との議論は全く愉快です。
リーマン幾何学に「レヴィ・チビタ接続」
というものがあるそうです。
又、「クロネッカーのデルタ」の親戚で、
「レヴィ・チビタの記号(エプシロン)」ってのもある。
つまり、物理数学界では、かなりの有名人らしい、、、
(赤塚不二夫の漫画に出てくる チビタ君を思い出して、
ついつい笑ってしまう、馬鹿です > 私。)
レヴィ・チビタ氏は、見かけによらず気骨のある人で、
イタリアで全ての学者に強制された
「ファシスト宣言」を、拒否する、という
大変勇気ある行動を取ったので有名でした。
引用してみましょう。
インフェルトが、はじめてアインシュタインの研究室に来た日の事です。
アインシュタインとインフェルトは、
さっそく物理学の議論を始めていました。
その最中、、、
「このとき扉にノックの音がして、私達の会話は中断された。
非常に小柄な60歳がらみの痩せた老人がはいってきた。
、、、中略、、、
言葉というよりは、ジェスチャーで、レヴィ・チビタは私達の
邪魔はしたくない、と意志を表明した。
両手で扉の方を指さしながら、
出て行ってもいい、という身振りをするのだ。
またその気持ちを強調するために、
彼は小さいからだを扉の方へ屈めるのだった。
私が抗議する段取りになった。
「私ならいつお暇(いとま)してもいいんですよ。
また他の時に参りますから。」
今度はアインシュタインが異議を申し出た。
「いやいや、私達3人で話し合ったらどうです?
まだ話はそんなに進んでいないんです。皆で討論し合いましょう。」
私達はすぐ賛成した。
、、、中略、、、(三人の共通語、英語で議論することになった)
私は、あまり謹聴する必要もなく、
二人の応酬を十分楽しむことができた。
私は笑わずにはおられなかった。
アインシュタインの英語は非常に単純で、
その語彙も300語ばかり、発音はまったく奇妙だった。
彼は正式に英語を習ったことはなく、ぜんぜん聞き覚えなのだ。
(普段、アインシュタインとインフェルトはドイツ語で話していたらしい、、、)
、、、
レヴィ・チビタの英語はもっとひどかった。
その言葉の意味は、イタリア風の発音と
生き生きした身振りの中へ融け込んでいった。
それでもお互いの理解は十分可能だった。
、、、
落ち着き払って印象的なアインシュタイン、
大仰に身振りをする小柄で痩躯のレヴィ・チビタ。
二人が黒板に数式を書きながら、
英語だと思い込んでいる言葉で喋り合う姿を私は見守っていた。
それは一幅の絵であり、二、三、秒置きに
ダブダブのズボンをしょっちゅうかき上げるアインシュタインの姿と共に、
私の忘れ得ぬ印象的な滑稽な場面だった。
ともすれば吹き出したくなる気持ちを抑えようとして、
私は自らに言い聞かせるのだった。
「ここで喋ったり物理学を論じたりしている人は、
世界で最も有名な科学者なんだ。それに、おまえは、
その人がズボン吊りをしていないからといって笑おうというのか!」
この説得は、功を奏した。私は辛うじて自分を制することができた。」
(インフェルトも、アインシュタインと同様、元々は、英語はできなかったのですが
真面目な彼の事ですから、きっと一生懸命勉強していたので しょう。
それにひきかえ、アインシュタインの、「興味のあることしか勉強 しない」
という特質(?)との対比が、面白いですね。
又、アインシュタインは、ベルトやズボン吊りが 大嫌い、さらに
靴も靴下も嫌いで、冬以外はいつも素足にスリッパだったそうです。
、、、プリンストンは、北国なのですが、夏は非常に暑いそうです。、、、
床屋も嫌いなので、あの総髪になり、
背広もネクタイも嫌いで、カーディガンや革ジャン、白衣などをよく着ていたそうです。
又、パイプタバコが大好物。
、、、もう、おわかりですか?
なんと「お茶の水博士」のモデル は、
アインシュタインなのだそうです。、、、驚きましたか?
ただし、お茶の水博士は、白衣の下に、きっちりとネクタイをしていますが、、、(^^;) )
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