●再び熱い歓迎を受ける
3rd.stage
夕べの内にナホトカを出航して朝にはザルビノという小さな港町につきました。天気は快晴。もう、ナホトカ以上にさびれていてなーんにも無いんです。ぼろぼろのほったて小屋のような家がちらほらとあるのがさらに哀愁を醸し出します。港にある鉄道の引き込みヤード。ああっ、渋すぎる!!
それにしてもどこから集まるのか??なんでも、歓迎パーティーなど企画してもいなかったのに、どこからともなく村人がスタート地点に集まってきてセレモニーの準備がされてたとか(しかも収拾がつかなくなった)。そもそも、ザルビノはロシアンラリーが始まった当初はコースになっていたらしい。ここ数年外されて、実に7年ぶりにザルビノでの開催になったとの事。7年ぶりに帰ってきたこの小さなラリーが村人にとっては大きなお祭りってことらしいです。どこに行っても大歓迎で、本当にうれしくなっちゃいます。ここでも、おねーちゃんを捕まえて記念撮影!あとはきちんと撮れているのを祈るのみ。たいていベストショットというものは現像上がりで失敗作であることに気づく)リピーターの話しでは以前はもっと盛大だった、ということでしたが、どんな些細な歓迎でも当時の俺にとっては胸がじーんとくる思いでした。日本では町や山を荒らす暴走族と見られがちなのですが、みんな万面の笑みでエントラントを迎えてくれるのでした。
俺のヘアースタイルはモヒカンだ。残念なことに日本ではこのスタイルは不評を買っていて、女の子には指をさして笑われカッコ悪い!の一言。俺は気に入っているんだけどなぁ・・・。でもこの土地では人気者になれるんです。当然ものめずらしいというのもあるんですが。でも良く見るとロシア人も似たようなヘアースタイルのように思えるんですけど、気のせい??で、ヘルメットを脱いでモヒカンが現れたとたん、あつーい視線!!うーん、これだよ、これ!もう作戦成功っすね。
●目まぐるしく変わるロシアの大地
熱烈な歓迎の中、3日目のスタートでした。今日のブリーフィングでもコース変更がされ、湿地帯はかなりキャンセルされたようです。ここにはまると一歩も進めなくなるからということでした(たしかに行ってみて実感しました。ラインどりを間違えるとアウトです)。コースマーカーのミスでスタート直後に全ライダーがミスコースしてしまうというアクシデントがあり、そこを上手く抜けたために初めてトップグループを走りました。どうも、このマーカーを勤めていた警官が、2回目に通るはずだった道にいきなり誘導して起こってしまったらしい。ところで、トップGを走るということはほとんど前にライダーがいない=路面にタイヤの跡が無い、ということになります。つまり、本当にナビゲーションしないとならないということですね。マップ上では道として書いてあっても、とても道とも言えないような藪の中を突き進んで行くことに。本当にこっちでいいのかよってのが本心。藪こぎをして噂の湿地帯へ。コンパスと勘とこの2日間で得た経験をもとに突き進みました。おかげで全然スタックすることなく行けました。こうもうまくいくと嬉しいものです。しかも自分の進んだ道の後を他のライダーがついてくるのですから!まさに、「道はオレ様が通った後にできるもの!」を実践したわけです。
広大な丘陵を駆け抜け、砂浜を疾走し、再び丘陵へと思いのままのペースで。やっぱり、日本には無い、俺の求めていた景色がここにありました。変化に富んでいてほんとうにスケールが大きい・・。これでもロシアのなかの小さな小さな一部分にしか過ぎないんですから、いつかはもっと内陸を目指さなければ、って思ったのは俺だけではないはずです。きっと、一生かかっても走りきれないほど道があるんだろう・・。
この日はロシアの大地のすさまじさを改めて実感しました。後半からはフラットダートなのですが、砂というよりパウダーといった感じの土で覆われていて、その中に大きな角ばった石がゴロゴロ。前に他のライダーがいようものなら、一寸先は闇の中状態です。とにかく前が見えない、息ができない!ただでさえ、ふかふかのサンド路面なために普通に走っていてもハンドル取られてコケそうになるのに、この石にフロントをヒットさせたら・・。しかも、100km/hは余裕で出ていますから(ちなみに日本では舗装路ですら80km/hでしか走ったことが無いです)ただでは済みません。俺も、一体何回ヤバイ目に遭ったことか。たまたまコケなかっただけでしょう。さらに後半は大湿地帯へ。この日晴れていたからよかったものの、少しでも雨が降っていたら地獄絵図と化していたはずです。といっても、泥にはまってしまって立ち往生してしまい、ロシアンライダーに助けてもらったけどね。手を振ると、ニコニコしてよってきて手伝ってくれます。それにしても、パワフル・・。半分泥に埋まったリアホイールを持ち上げちゃうんだもん!このあと、大きな水溜りが行く手をさえぎりました。これはどこを通ればいいの??真ん中はどうも深そうだ。先行していたロシアンライダーが右端の小さな小川みたいなところを渡っていきました。どうやらここは浅いらしい、ということでLet's Go!だったのでしたが、はまらないようにと全開で突っ込んだため、こんどは小さな切り株でフロントが跳ね上がりそのままバイクが吹っ飛んでいきました。あちゃー、かっこわりー。でもここがベストラインだったようです。正直に水溜りの中心に突っ込んだ人はそれなりに苦労したみたいでした。水没車もあったようですし。
ゴールしてみればみんな顔が真っ黒!「わー、汚ねー!」の世界でした。さすがに、みんな笑顔が出てきて余裕の表情に変わってきていました。ところで、この日、CP2から先、マップが間違っていました。どうも、区間距離があっておらず、いつまでたってもゴールは見えない。みんな、同じ所を行ったり来たり。結局、区間距離が違うだけだったのですが、どうも、ロシアンラリーの地図は曖昧な所が多いようです。