高血圧や糖尿病といった生活習慣病は、運動不足、飲みすぎ、食べ過ぎ、肥満、塩分摂取過多、喫煙といった生活習慣の乱れが原因となります。それらの生活習慣を適切なものに是正していくことが大事になります。
一方で、生活習慣の是正は容易なものではありません。例えば、糖尿病や高血圧と診断された肥満の方を想像してみてください。生活習慣の改善で10kgの体重減少による目標達成を目指すとしましょう。仮に毎日1時間の散歩を始めたとしても、1-2か月程度では目標に到達するのはかなり大変です。1年、あるいは数年の長い時間が必要でしょう。一方で、飲み薬を開始すると、たった2か月程度で、血糖や血圧は存外に良好にコントロールできたりします。さて、ここからが重要になります。ここで満足せずに、自分の努力を続けて生活習慣を改善していくのが大事です。すると、時間経過とともに、血糖や血圧はますます改善し、薬が効きすぎる状態になり、やがて薬は不要になり、やめられるのです。
しかし、この「飲み薬」が曲者です。「飲み薬」で血糖や血圧は良好にコントロールできているからと、それに甘んじて、生活習慣の改善がみられないかたが数多くいらっしゃいます。あくまで、「飲み薬」は急場をしのぐためのものなのです。そのため、自分の努力がないと、いつまでたっても、薬をやめられなくなります。さらに、1年、2年と時を経ると、1歳、2歳と年をとっていきます。加齢に伴い、「飲み薬」1剤だけでは効果が足りなくなり、2剤目、そして3剤目と「飲み薬」が増えていくことになるのです。
飲み薬に頼った治療ではなく、生活習慣改善に取り組むことが大事になってきます。
|