フェー ルセーフ
「フェールセーフ」とは、何か失敗
があった時に安全側に傾くシステムの事である。
昔は「フールプルーフ」と言った。直訳すれば、「馬鹿から守る」。
「フー ル」っていう言葉が差別用語なので、どこかから文句が出て(ホント?)、
いつのまにか「フールプルーフ」って言葉は見かけなくなりましたね。
そのかわり「フェールセーフ」って言うようになりました。
「ロバスト(robust)なシステム」って言葉もあ
る。
「robust」とは、
「頑丈な」とか「頑健な」とかいう意味らしい。
この三つは、もちろん意味は微妙に違いますが、まあ、だ
いたい、おんなじ事です。
言い方はどれでもいいんですけど、実はこれは、安全にとって、とても大切な事ですね。
、、、
フェールセーフ機能を「付け加える」場合がある。、、
我が家の妻の乗用車には「ABS」っ てのが付いていて
雪道で急ブレーキを踏んでも「ガガガッ」と、自動的に「ポンピングブレーキ」して
くれる。、、
最近気づいたのだが、私、ABSに 頼る癖が付いてしまって
雪道でも、平気で急ブレーキをかけていたのだった。
今年 (2012) の2月
山道で、マイカーのダイハツベンツ(軽トラ)を運転している時、
ちょっとスリップした時に、何も考えず瞬間的に急ブレーキを踏んでしまった!!
恐ろしい!(軽トラに「ABS」 なんちゅう「高級品」が付いてるわけない!!)
当然、スルーーックルクルーーッと回転して、あわや大惨事の危機一髪。
幸い、対向車は無く(僻地の山道なので)崖にも落ちずに済んだが、
いやはや、心臓が止まりそうでした。
昔は雪道は得意で、スリップしそうになったら
ポンピングブレーキは当然として、モンテカルロラリーよろしく
逆ハン切ったりなんかして、余裕しゃくしゃくだったのだが、、、
いつのまにか「ABS」な んてものに頼る癖が付いてしまって
逆に、危険が身に迫っていたのだ!!
、、、
もっと、恐ろしいものが最近出てきましたね。
「衝突防止機能」的なものが、さかんに宣伝されている。
追突しそうになると、自動的にブレーキがかかるシステムだ。
これに頼る癖がついてしまうと
例えば、渋滞でゴニョゴニョ運転している時、
知らんぷりして、ブレーキを踏まなくなる恐れがある。
これは、ホントに怖いね。
、、、
こんなふうに、「外付けフェールセーフ機能」って
付ければ付けるほど逆に危険が増すんじゃないかなぁ???
それより、
自動車は本質的に「暴走」の可能性を持っている。
問題は、そこなんですよね。
自 動車のエンジンは基本的に低速では回らない。
クラッチとかトルクコンバーターとかでごまかしている。
それに対し、
蒸気機関車(外燃機関)は非常にゆっくりでも走る。
SLの魅力は(すべて魅力 的だが)私はスタートの時だと思う。
「出発進行ーっ」と、車掌がコールする。
ポーッと汽笛が鳴る。そして、非常にゆっくりと
シューッ、シューッ、ポッ、、、ポッ、、、と走り出すよね。
子供の頃、私は、
この、低速から力強く動き出す時の蒸気機関車に
泣きたいほどの感動を覚えたものだ。
残念ながら、
内燃機関には圧縮工程というプロセスが、どうしても必要である。
2サイクル、4サイクル、 ディーゼル、ロータリーを問わない。
圧縮工程は回転を止める方向に力が働く。
だから、低速では「エンスト」してしまう。
常にある程度の回転数で回す必要がある。
アイドリングは、100rpm以 下では難しいよね。
走り出す時は1000rpm以
上は必要だ。
自動車は基本的に
「ゆっくり走る事が苦手な機械」なのである。
も うひとつ、
自動車のブレーキペダルとアクセルペダルは、ふたつ並んで配置されていて、
しかも、同じ「踏み込む」という動作で、「止める」、「加速」の正反対の結果を生 じる。
きわめて危険である。
自動車の運転は「簡単すぎる」ため(とくにAT)、「危険」なので す、、、
(自動車という物は、本質的に、きわめて危険なシロモノなであるが、
アクセルブレーキ踏み間違い事故が多いのは、
自動車を運転する上での「大原則」を忘れている場合が多いのかも、、、
それは
「車が少しでも動いているうちは、 ブレーキをかける意思が無いなら
(クリープ状態であっても)右足は必ずアクセルの上に置いておくべきである(踏んでいなくても)。」
という大原則である。
yahoo質問箱における「踏み間違え事故」に関する質問への回答の一つに、
以下のような物があった。 曰く、
「私は初心者マークを剥がしたばかりの、まだまだ初心者ドライバーです。
ペーパーではなく、免許取得3ヶ月後くらいにマイカーを購入したので、毎日乗っています。
私は教習所では、走行中は常にアクセルペダルに右足、と教わりました。
ブレーキはブレーキをかける時にだけ、そちらへ足を持っていく事、
ブレーキの上に足を置いての走行はダメだと教わりました。
なぜなら、踏み間違いが起こるからだそうです。
右足は常にアクセルペダル正面。
ブレーキペダルを踏む時は、右足ごとブレーキペダルにちゃんと移動させる。
そしてブレーキをそれ以上踏む必要がないなら
すぐアクセルペダルに戻す、です。 私は教習所でこの様に教わりました。)
、、、 スバラシイ、、、おっしゃる通りです。
そ れにしても、自動車という乗り物は、根本的に非常に危険な道具である事には変わりない。
さ らにもうひとつ、
人 間は、驚いた時、とっさに足を「伸ばす」性質がある。
こ れは、危険から飛び退く本能があるからだと思われる。
人間だけじゃなく、哺乳類は皆そういう性質をもっているようだ。
猫が何かに驚いてピョーンと1m近く飛び上がる動画をyoutubeで 見た事がある。
オー プンカーのドライバーが、「ハチ」に刺されて驚き、
思 わずアクセルを踏んでしまって崖から落ちた、
と いう話も自動車雑誌で読んだことがある。
ビックリした時に「足をひっこめる」のは非常に難しい事かもしれない。
自
動車の暴走事故が多いのは、原理的に「あたりまえ」なのである。
、、、
登り窯はフェールセーフです。
最適なタイミングに、最適な薪を、最適な量、くべなければ温度は上がらない。
ちょっと居眠りでもすれば、最早、取り返しのつかない失敗になる。
この場合の失敗とは、温度が下がってしまって最早取り返しがつかない、
最初からやり直し、という状態です。
これは、「手がつけられない暴走状態になって、大火事になる」ような事とは正反対。
つまり、薪を、いっぱいくべても、くべるのを休んでも、どんな事をしても
どうしても温度を上げる事が出来ず、どんどん温度が下がってくる状態になる。
(これを業界では、窯が「こじれる」と言う)
結局、あきらめて最初から、
つまり薪割りから、やりなおしって事になるのだ(やれやれ、、、)。
、、、
これがフェールセーフ。
、、、
んで、話は突然変わりますが、
「原子炉」って原理的に、
「フェールセーフ」とは、まさしく「正反対」のシステムですね。
暴走シ ステムです、、、