(6)
「複雑な表面積分の計算に戻ろう、と私は努力した。が、できないのだ。
なにか息詰まるようなこの状態で、研究を続けることは不可能だった。
私は努力を放棄した。そして長椅子の上に横になりながら、
同じ事を何度も何度も考えた。
---ここでちょっと収入を得るには、どうすればいいんだ?
アメリカに唸(うな)っている札束から、
翌年度自分が1500ドルだけ儲けるためにはどうすればいいか?
この裕福な国にいながら、自分の欲しいのはたったこれだけだ。
、、、中略、、、
と、青天の霹靂のように、ある考えが浮かんできた。
---アインシュタインと共著で通俗本を書くという手はどうだ?---
この着想を思いついたとたんに、それが自分の財政問題を
解決してくれるものであることを悟った。
アインシュタインとの共著の本であれば、たとえ大成功とはゆかないまでも、
完全な失敗であるはずかない。
、、、後略、、、」
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