サケを食べようSALMON FOOD

サケを食べて丈夫な体をつくろう

サケの栄養とそのはたらき

 サケは日本人に昔から食べられている魚の1つで、数千年前の縄文時代の遺跡からもサケの骨が出土します。サケは人の筋肉や血のもととなるタンパク源を豊富に含むほか、元気を保つのに役立つ成分をたくさん含んでいます。

 「鮭」という漢字は魚へんに十一十一と書くことから、11月11日を「鮭の日」としており、平成8年度から11月11日を中心に県内全域の学校給食メニューに秋さけを取り入れていただいています。

 これを機会に、ちょっとサケの栄養について勉強してみましょう。

[1]タンパク質
 筋肉や血などをつくる栄養素です。
 タンパク質は、体の中で約20種類のアミノ酸に変わります。サケのタンパク質には、自分の体で作ることのできないアミノ酸(必須アミノ酸といいます。)をバランス良く、しかも多量に含んでいるため質のよいタンパク質といえます。
[2]ミネラル(カルシウム)
 ミネラルは、体の調子を整えてくれる栄養素です。
 さまざまなミネラルのうち、サケは肉類(牛、豚、にわとり)に比べてカルシウムを多く含んでいます。カルシウムは、体に含まれるミネラルの中で一番多く、特に育ち盛りの子供にとっては骨や歯の原料になる大切な栄養素です。
[3]ビタミン類
 ミネラルと同じく、ビタミン類も体の調子を整えてくれる栄養素です。
 ビタミン類はわずかな量で、みなさんの体の中でとても大切な働きをします。
 ビタミン類のうち、サケは肉類(牛、豚、にわとり)に比べて、ビタミンD、E、B12や葉酸が多いのが特徴です。
 ビタミンDは、体へのカルシウムの吸収を助けてくれる働きがありますので、カルシウムとビタミンDを豊富に含むサケは、栄養的にもとてもバランスのよい食材といえます。このほか、ビタミンEは若さを保つ働きをし、ビタミンB12は肝臓の働きを助け、葉酸は心の健康を保つ働きがあります。
 また、イクラ(サケの卵)やめふん(サケの腎臓)には、ビタミンAとビタミンB2も多く含まれています。
 ビタミンAは成長の促進や目の健康を保ち、ビタミンB2は目や皮膚の健康を保つのに役立ちます。
[4]その他の栄養素
(1)EPA(エイコサペンタエン酸)
 コレステロールを下げたり、血をサラサラにして血管を流れやすいようにする働きがあります。運動不足で太り気味の子には欠かせない栄養素です。ハラス(サケの腹の部分の肉)やイクラなど、脂質が多い部位に含まれます。
(2)DHA(ドコサヘキサエン酸)
 脳細胞を活性化させて、学習能力を向上させます。EPAと同じく、脂質の多い部位に含まれています。
(3)コンドロイチン硫酸
 みずみずしい肌を保ったり、関節が滑らかに動くための手助けをします。
 サケの氷頭(頭の軟骨)に多く含まれています。
(4)コラーゲン
 タンパク質の仲間で、体をつくる細胞をおたがいにくっつける接着剤のような役目をしています。サケの皮に多く含まれています。

家庭で秋さけを食べよう

 サケはその部位ごとにいろいろな栄養素が含まれているため、頭や内臓、そして皮、中骨にいたるまで広く料理に用いられ、捨てるところがない魚といわれます。
 岩手県の沿岸地方には、そのサケの部位ごとの特徴をうまく生かした料理法がたくさんあります。
 さけを丸ごと1尾買える機会があったら、是非、頭からしっぽまで使ったいろいろな料理にチャレンジしてみてください。

鮭のおろし方

(1)頭部を左側にしてまな板にのせ、胸びれの下から包丁を入れ、中骨にあたるまで切り込みを入れる。
(2)裏に返し、(1)と同様にして切りこみを入れ、中骨にあたったら力を加えて一気に頭を落とす。
(3)慣れないうちは身を大きく2~3に切り、それぞれを三枚におろすとよい。
(4)腹から尾にかけての部分は包丁を入れて切り開く。
(5)背側からも包丁を入れ、さらに切り口の中央から中骨に添って包丁を動かして上身を切り離す。
(6)腹部は背側から包丁をあてて中骨まで切り離し、包丁の角度をやや上向きにして腹部をはずす。

(1)イクラの作り方(サケ1尾分)

準備

[1]飽和食塩水

 2Lの水に800gの食塩を加え、いちど沸騰させてから10~15℃までさましておく
(冷えると底に食塩が溶け残る)

[2]洗浄用食塩水

 [1]で作った飽和食塩水から200mlをとり、水1Lを加えて薄める。
(温度は15℃以下)

[3]卵分離用網

 1cm程度の目合いのもの。(金網など)

イクラの製造

サケ卵

鮮度が重要

分離

すじこ状の卵巣の開口部を下に向けて開き、網にこすりつけて卵粒を網目からもみ落とす。

洗浄

洗浄用食塩水中で手早く血や汚物を洗い、ざるで水を切る。

塩水漬け

飽和食塩水中で10分間攪拌する。
この時間は好みにより適宜加減する。
最初の5分間は休まずに攪拌を続け、その後は攪拌しながら汚物を取り除く。

水きり

卵を手ですくいとってざるにあげ、水をきる。
このとき汚物をできるだけ塩水の中に残すようにする。
乾燥を防ぐため、ざるのままポリ袋に入れて30分以上冷所に放置する。

保存

1週間程度の短期保存には、冷蔵庫を使用し、それ以上の長期保存には冷凍庫を使用する。冷凍保存の場合、油焼けを防ぐため、できるだけ空間がないように小さめの容器にいっぱいに入れて密封しておく。

(2)新巻の作り方

1、魚の処理

(1)エラの除去

ア サケの口を開いて、上あごと下あごにあるエラとの接続点を切る。
イ エラブタを開き、エラを切り離して取り除く。

(2)内臓の除去

ア 尾ビレを左手でつかみ、腹を右にして肛門から包丁をむこう向きに入れて胸ビレのところまで腹を切り開き、内臓を取り除く。
イ メフン(中骨に接している黒い部分)の中央に切れ込みを入れてからメフンをかき取る。

(3)洗浄

タワシを使って魚体の内外をよく洗う。

2、施塩

(1)食塩は魚の重量の15%程度を使う。
(2)体表は、うろこの間に塩をすりこむようにする。
(3)腹の中や、エラを取り除いた空洞の部分にも十分に塩を入れる。
(4)眼球のくぼみの中にも塩を詰める。

3、漬け込み

(1)魚体がまっすぐに入る大きさの容器を用意し、塩をすりこんだ魚を漬け込む。この場合、魚から出た液が魚体を完全におおうようにしてあれば、魚の上に新聞紙を数枚重ねて張り付け、表面が乾燥しないようにする。
(2)もし、適当な容器がない場合には、魚を大きいポリ袋に入れ、できるだけ空気を抜いて口をしばり、漬け込む。
(3)この状態で冷暗所に2~3日おき、その後10kg程度の重石をのせてさらに2~4日おいて肉を締める。

4、洗浄

 真水に30分程度浸しておくと体表の粘質物が落ちやくすなるので、その後に魚の内外をタワシでよく洗う。ここで洗い方が悪いとできあがったときに表面に白粉が吹き出して見栄えが悪くなる。

5、乾燥

(1)ひもを頭の後ろから左右のエラ穴を通して口から引き出し、輪に結んだものを風通   しの良いところにつるして乾燥する。腹の中が乾燥しにくいので割ばし等で腹を広げておく。
(2)この棒は腹の中が乾いたら早めにはずす。
(3)ある程度乾燥したら、形を整えてポリシートなどで包み、軽く重石をのせて一夜置き、水分の均質化を図る。
(4)このあとも適度な水分になるまで乾燥と水分の均質化の行程を繰り返して仕上げる。

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